トルコ人が経営している近くのお店でビワが安くなっているのを見つけた。金曜の夕方だからか、急に暑くなった天気に誘われたのか人が多い。
ビワを袋に入れている人を見て私もビワが欲しくなった。1キロ1.99ユーロ。一時1キロ7ユーロほどで売られていたのを考えると随分安い。
きれいそうなビワの実を選んで手に取るとひんやりとしていた。暑い空気とは対照的だ。一日この暑い空気にさらされていながらこんなに冷たいのは冷蔵庫に入れられてでもいたからなのだろうか。
冷蔵庫に詰められて船に載せられ、どこからかドイツに運ばれるビワの姿を想像する。
家に帰って同居人にビワを見せると「始めて見た。」と言い、皮がついたままいきなりビワをかじった。
「ヴェ!」まずいものを食べたときの声を同居人が発して私は笑う。
「皮をむかなきゃ。手で剥けるよ。」そう言うとしぶしぶ皮を剥いて食べ、「もっと熟れてから食べた方がおいしい。」不満そうな顔で言いながら彼女は「故郷にあるなんとかと言う実に似てる。」などと話し始めた。
私はビワは種も葉も使える素晴らしい植物だと彼女に自慢して、そして小学校の入学祝いに母が買ってくれた木がビワだったことを思い出した。
今頃私のビワも秋に備えて実をむくむくとふくらませているところだろうか。