2015年5月11日月曜日

悲しい父子。 東野圭吾著 『祈りの幕が下りる時』 感想

加賀恭一郎、ってなんだか既視感のある名前だなぁ…と思ってたら『新参者』の主人公もこの人だったんですね!Amazonには加賀恭一郎シリーズって書いてありました。

さて、その加賀恭一郎のお母さんの関わってくる話です。
何日か前に読んだ『夢幻花』より読みやすかったし面白かったです。



なんだか小説もどんどん新しい情報が取り入れて書かれるんだなー、って思います。
精神病とか原発とか。
何年か後になって読み返すと逆に書かれた時代が分かって面白いかも。

ただ一つ気になったのが加賀さんがしょっちゅう「白い歯を見せた」という表現とともに笑うこと。どんだけ歯、白いんだーーー!

あらすじはざっとこんな感じ

滋賀県の会社で働く押谷道子は営業先の老人ホームでかつての同級生、浅居博美の母親にそっくりな人を見かける。今や芸能人となっている浅居博美に会いに行く丁度良い口実だと思った押谷道子は東京にいる浅居博美に会いに行く。

そしてしばらくしたある日、押谷道子は東京のアパートの一室で死体となって発見された。アパートに置いてあった物から検出されたDNAはとあるホームレスの物と一致する。

ホームレスはしばらく前に住んでいたところが燃やされた、と言う。アパートに置いてあった物もいつの間にかホームレスから盗まれたものだと分かり事件の解決は難しそうに思えた。

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なんだか少し後味の悪い、悲しいお話でした。
私は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』みたいな、被害者のあまりいない話が好みだなぁ

そういえば『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に出てくる男の子の親も夜逃げして、男の子のために自殺するっていうストーリーがあって少し今回の話と似たところはあるかも。

まぁ、結婚には気をつけようっていうのがこの物語の趣旨な気もします。

ちなみに実写化するなら
押谷道子は光浦靖子さん、浅居博美は板谷由夏さんって感じ。
浅居博美のお父さんは寺尾聡さんかな?

以下ネタバレあり

殺された押谷道子が可哀想でその点だけは後味が悪かった。仕方ないって言えるのかな。

浅居博美がいじめられてた時も浅居博美をかばうような子だったんだし(まあ昔のことだけど)、今もちょっと野次馬根性があったにしてもお母さんを心配してわざわざ浅居博美に東京まで会いに来るような性格のいい人なのに、浅居親子の都合だけで殺されるなんて可哀想だった。

浅居博美の父は押谷道子の人間性なんて知らなかったんだろうけれど。

ずっと偽名で暮らし、2人も人を殺し、それで最期は「もう逃げたくない」と言って大事な娘に首を絞めさせる父親はなんだか不憫なんだけど、他にやりようはなかったのかなぁとなんだか納得のいかない部分がありました。

娘のことだけを思い続けてあそこまでいくのはすごいことですが…。借金にしたって自己破産とかできないのかな?昔の設定だからできないの?