最近家族が宇江佐真里さんの本をすすめていたのでハンブルクの中央図書館で借りてきました。
江戸の街の堀にまつわる短篇が六つ収められた本です。
私のお気に入りは最初の『ため息はつかない』とこの本の題名にもなっている『おはぐろとんぼ』です。
『ため息はつかない』では五歳で孤児になった豊吉が叔母のおますに引き取られるところから物語は始まります。
豊吉がため息をつく度に怒るおます。豊吉はある日奉公先の主人にお見合いを勧められますが、お見合い相手は「行かず後家と陰口を叩かれている」でっぷり太ったお嬢さんのおふみ。
お見合いに気の進まない豊吉。
さらにお見合いの後に大きな事件が起こります。
最後の
「もうため息はつかない」
という豊吉の言葉に感動します。
『おはぐろとんぼ』は女料理人、おせんが主人公。
女料理人が中々認めてもらえない時代の中で黙々と料理をするおせんがカッコイイです。ある日おせんが働いている料理茶屋に新しい板前の銀助がやってきます。今までの板前と違う銀助に戸惑うおせん。
おせんと銀助、対照的な二人の出会いと恋にドキドキさせられます。
・時代物が好きな人
・人情ものが好きな人
におすすめの一冊。